日曜日, 5月 18, 2008

わたしを通り過ぎた愛車達その2

三菱・トレディア(爆)1600スーパーサルーン前期(3AT)

オヤジ殿曰く、「見た目で買った」。子供心に前期型のリアコンビランプ上、トランクリッドとの境にある一文字眉毛のようなグレーのモールが嫌だと思ったが、ほかは実に当時のフランス車調なクリーンでハイテックな感じであった。全体のスタイリングはランサーEX類似で明らかにセッサーノの影響下にあるもの。ただしこちらはより空力指向の世代でトランクはダックテール処理。カタログにもわざわざその旨記載があった。バンパは鉄ちんのメッキバンパを黒のウレタンで巻いた、樹脂バンパ化の過渡期的形態であった。リヤタイアの頭が軽くスパッツ入ったフェンダーで隠れるなどとってもフランス車的。似たようなデザインコンセプトのトヨタ・ビスタ(初代)ほどの見た目のうるささもなく、お気に入り、なのだが、、、。

新車なのにキャブの調整が悪かったのか、アイドルコントロールのバルブかセンサが壊れていたのか、そもそもそういうものなのか、物凄い振動。サイレントシャフトってなんだ。そして始動直後、大舵角を当てて発進しようとすると必ずエンスト。当時のMMC=三菱らしくプラスチック部品へのメッキ加飾の膜厚が厚すぎ1年ほどでばりばり剥がれてくる、ATシフトレバーのロックボタンが割れる、あちこちもげる、シートがほつれる、しかもものすごい静電気、赤のメタリックペイントがみるみる退色する、など猛烈なポンコツぶりを発揮。21世紀にリコール隠しとして開花する三菱の暗黒の序章といえよう。あまりのひどさに本来置き換えるはずだったFRのランサーEXよりも先にモデル消滅してしまった。

マイチェンで5マイルバンパーをくっつけてみたり、リアの一文字眉はなくなったが全体にクリーンさが後退した。1600エンジンは88PS/6000RPM(グロス)だったのが後期は88PS/5600RPMに低回転化されていた。前期モデルはうちの1台、後期モデルは小学校の近くの美容室に1台あったきりで、町で見かけることもなく絶世のレアカーであった。

壊れるのを除けばメカ式AM/FMラジオの他にオートリバースのカセットデッキもついてるし、エアコンがついているし、パワステ(リアウィンドーに大きな"POWER STEERING"デカール付き。キャンターには90年代に至るまで同じものが貼り付けられていた、このパワステポンプのおかげで前述のエンスト連発)、パワーウィンドゥ(後席スイッチのガーニッシュがもげた)、時間合わせの楽なデジタル時計(時報に合わせてボッチを押せば:00にセットできる)、左後席部分だけだがトランクスルーがあり、FFらしくセンタートンネルは低くホイールハウスの蹴られも消失した。ほかにもハロゲン異形ヘッドランプ、作動間隔連続可変の間欠ワイパ、ついに180km/hフルスケールとなったスピードメータと、ホットモデルでもないのに標準装備されたタコメータとかが新時代を思わせた。

そういえば取説には「ステアリングフルロックで15秒以上禁止」ってあったなあ。涼しい顔をしているオーナーの足元で、「潤滑不足!!」と叫んでいるパワステポンプらしき物体の挿絵があってシュールだった。もちろん、前述のエンストは15秒どころかアクセル抜いた瞬間に起こるのでパワステポンプをやたらといじめていたわけではない。そもそも右折でフル転舵なんかしない。どんだけフリクションのあるポンプだったんだ。

1800GSRターボ、1800スーパーサルーンに次ぐ豪華グレード。当時からバブル期に至るまでクルマのグレードというのは死ぬほど多かった。エンジンバリエーションとトリムレベルの組み合わせで20以上が当たり前。トレディアでも1800ターボ,1800,1600,1400にSEとかLG(当時の日本車の普及グレードの定番は「GL」であったが三菱となぜかマークIIだけは「LG」であった)なんぞといろいろあった。カタログの1ページ目写真はたしか海外のヴァンクリーフ&アーペルスのお店の前で撮ったもので、なぜかわざわざその旨のキャプションが添えられていた。C32ローレルがジバンシィとか言う前にブランドづいたか。トレ・ダイヤ(三菱)だけに。デボネア・アクアスキュータムとかもそうだが、一般的知名度を無視した選択が三菱らしい。三菱商事の都合なんだろうが。あとギャランAMG、デボネアAMGはなかなかウケた。

購入時に比較対象となったのはでたばかりのカローラII、カタログに「3A-H」とでかでかと書かれた1500SRがトップモデルだったか。イメージキャラクターはジョン・マッケンローだったと思う。そのほかFR最終期のコロナ(イーグルマスクにセリカなどと同じアルミ、DOHCターボのGT-TRとクーペの直線的なデザインがかっこえぇと思ったものだ)、初代ビスタ。日産や「赤いファミリア」で一世風靡したマツダには行かなかったような気がする。当時のトヨタ・デザインは子供心にかっこいいと思った。2ドアランドウ・クーペやガソリンターボの設定があったクラウンHT(S110系)、初代ソアラ(後期型がすき)、2代目セリカXXと最後のFRセリカ(白目を剥いている前期ではなく、リトラクタブルの後期)、少し新しいところだと赤黒のGT-APEXカラーに金色のスタイルド・鉄ちんホイール装備のカローラレビンGTV(AE86)ハッチバックなどベタだが今でも好きだ。クリーンでハイテックで、当時買ってもらったパソコン(PC-6001mkII(Z80 4MHz+64KB RAM+microsoft N60(m)ROM BASIC。ボイスシンセサイザ内蔵で不気味なイントネーションでしゃべる)+PC-60m43(デジタルRGB2000文字対応CRTモニタ、ドットピッチ0.7mm)+PC-6082(DR-320 CMTカセットデータレコーダ、1200bps 何かの拍子にイジェクトに失敗するとヘッドとカセットが干渉して取り出せなくなる。裏フタ外してゴムベルトのかかったフライホイールを指で回転させてやるとガチャンと言って治る。これ豆知識な。フロッピーって何?食えるのか?))もそうだが、80年代の人々が夢見たわかりやすい未来を体現したアイテムだと思うのだ。

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